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2010年3月31日 (水)

トントン葺きの屋根

3月半ばに、リフォームの工事を終えました。
築35年木造2階建ての家の1階をほぼ全面的に手をいれました。
腐っていた土台や柱を入れ替え、建物全体の耐力補強をしました。

はじめ、この家の瓦屋根を葺きかえるかどうか点検したのですが、
一度もメンテナンスしていないという瓦の下に、杉の薄板が重ねられて敷かれていました。
なじみの瓦屋さんによると、関東では「トントン葺き」と呼ばれるそうですが、
いわゆる「杮(こけら)葺き」の仲間。
神社やお寺の建物には今も使われていますが、
一般の住宅には今ではほとんど見られない防水の仕方です。
杉の薄板が湿気を吸ったり吐いたりするほか、板の重なり部分が、湿度に合わせて水分を放出するので、
「呼吸する屋根下地」となります。

この家のトントン葺きは全く痛んでいなかった上、瓦も棟部分がズレていたりする程度だったため、
そのまま生かして、瓦も要所を釘止めとし、ほとんどすべて再利用しました。
費用は最小限になり、家の寿命を延ばすことができました。

現在、一般的にはアスファルトをしみこませた紙(アスファルトルーフィング)が防水として使われますが、
これは20年もするとボロボロに崩れるようなもので、とても再利用はできませんし、
その下のベニヤ板までふわふわになっているのが、ごく普通です。
以前、築20年の瓦屋根の家をリフォームしたとき、この屋根下地だったために
すべてやり直しをしなければなりませんでした。時間も費用もかかりました。

家づくりをしていて思うのは、昔からある建築の素材は「剛」ではなくて、「柔」の考え方だなあ、ということです。
剛として立ち向かうのではなく、受け入れつつ受け流す、そんな素材が使われてきたようです。

今の家の素材は自然をびしゃりと遮断するようなものばかりで、湿度のコントロールができていません。
そのため機械の力を借りて換気するなど、無駄なエネルギーを費やすばかりか、
結露などを生みやすく、これがカビの原因となって、最後には住む人の健康をむしばむことになります。

こういうリフォームでの経験は、新築の設計のときにも非常に役に立っています。
設計した家が30年、50年後にどうなっていくのかを実際に検証することができる貴重な機会でもあるからです。
「柔」の考え方の家づくりをしたいと思っています。


Cocolog_oekaki_2010_03_31_19_04

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