気流止めは万能?
中古の家のリフォームで、いつも悩むのが断熱材。
今どきの家は、外壁から雨漏りした場合でも、その裏にある空間「通気層」で
乾燥させることができますが、古い家はそういう作りになっていません。
それでも柱や土台が腐らずに残っているのは、雨漏りしても壁の中は床下や天井裏とつながっていて、いつも空気が流れているので、水が乾いていくからです。
家にとってはこれが一番なのですが、住む人にとっては、壁に風が流れていると寒いわけで、「足元が寒い。壁際がひやっとする。」と言われる原因となっています。
そこで、ここ数年で「気流止め」というものが一気にメジャーになってきました。
これは床下からの冷気を壁に入れないために詰めた様子です。
雑に見えますが(笑)下にはぎっしり詰まってます。
ただし、高気密高断熱の設計者から見ると、これはアウトと言われちゃいます。
「気密フィルムがついてないなんて、だめだよ」
「フィルムがないと部屋からの水蒸気が壁に入ってきて、結露しちゃうよ。」
気流止め万能!みたいな感じで言われちゃってきたのですが、
私は悩みつつ、リフォームではフィルム付の気流止めは使わないできました。
なぜなら、外壁から雨が入ったら、壁の中が濡れた状態になりますが、
木はすぐに腐るものでもないので、閉じ込めるようなことをしなければ乾きます。
もし、フィルム付の気流止めを詰めてしまったら、
乾くことなくずーっと木を湿らせ続けてしまうのではないか、と思っていたからです。
これではほんとに木が腐ってしまいます。
この3月、ようやく国土交通省がこの問題点をはっきり示したガイドラインをつくったそうです。
中古の家では、気流止めをいれると、逆に雨水による材木の腐食を招く場合があることが
ようやく認められました。
ただし、新築の場合や、中古でも外装から根本的にリフォームするような場合は、これに当てはまらないケースがありますので、一度現地調査をしてからプランをつくるとよいでしょう。
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